


猫の脱毛や痒みって何が考えられる?
「うちの子は綺麗好きで、よく全身を毛づくろいしてるんですよ」
とよくお聞きすることがあります。
猫はグルーミングをする動物ですが、それは本当に毛づくろいしているだけで、痒くて舐めているわけではないのでしょうか?
うっすらでも皮膚が見えるくらいまで舐めているのは、病気の可能性があります。
寄生虫
外飼いの猫やノラネコだけでなく、完全室内飼いでも発症することがあります。
近年での発生率は減少傾向にありますが、まだ疥癬(カイセン)や毛包虫、ミミダニ、ノミによる皮膚病の発生はあります。
一緒に生活している猫たちにも症状が出ることも多いです。
疥癬:激しい痒みが特徴。特に顔まわりがガビガビしたカサブタのような皮膚になる。
毛包虫:マレではありますが、免疫低下に関連して発症することがある。
ミミダニ:子猫に多く、耳の激しい痒みが特徴。
ノミ:後述します
糸状菌
子猫や免疫不全の猫、長毛種に多いです。顔まわりから始まり、全身に広がることもあります。
人にも感染する人獣共通感染症であるため、適切な管理が必要となります。
円形の赤み、脱毛、フケの増加、カサブタなどが主症状です。
ウッド灯と言われる光でこの病気を疑うことが可能です。
また、毛を抜いて顕微鏡で見たり、培養で菌を増やしたりすることで診断します。

ウッド灯により、顔まわりが光っているところ

脳下垂体腫瘍と糖尿病の治療中に、皮膚糸状菌に感染した猫ちゃん
アレルギー
最近ではこのアレルギーによる過敏性皮膚炎が多く認められています。
原因としては、ノミ、食物、非ノミ非食物の3つに分けられます。
頭や頚部に掻きこわしが多く認められます。 症状や治療法は別のコラムで紹介しておりますので、そちらをご参考ください。

食事アレルギーでお腹の脱毛が認められた猫ちゃん
他の病気
腫瘍:胸腺腫という腫瘍が胸の中にできてしまった際に、皮膚にツルツルした脱毛が認められます。皮膚の症状なのに原因は胸の中にあるという、マレな病態です。
内臓の病気:膀胱炎や腎不全などでも違和感から舐めてしまう行動が多くなることがあります。
ストレス
心因性脱毛と言われるもので、強いストレスが加わっている状況に置かれると猫ちゃんは自分の毛をむしってしまうことがあります。
強いストレスとは、環境変化(引越し、工事、妊娠、出産など)が関連することが多く、環境が正常化されると自然に改善していきます。
『犬は人につき、猫は家につく』と言われるくらい、猫ちゃんは環境の変化に弱い動物です。
お引越しなどが予定されている場合は、事前に動物病院に相談してストレス緩和のサプリメントやお薬などをもらっておきましょう。
千葉県佐倉市のステラどうぶつ病院は、皮膚科の予約もできますので、怖がりな猫ちゃんは予約して待たずに診察を受けることができます。
もちろん突然の症状も診察可能ですので、ご不明なことがありましたらお電話ください。