2026.07.27

猫のフィラリア症について

「フィラリア症って犬の病気でしょ?」と思われがちですが、実はネコちゃんも感染します。犬と違って成虫を駆除する薬が使えず、診断も難しいため、予防がもっとも大切となるのが猫のフィラリア症です。完全室内飼いのネコちゃんでも油断はできません。今回はあまり知られていない猫のフィラリア症についてご説明します。

猫のフィラリアは犬とどう違う?

猫はフィラリアにとって本来の宿主ではないため、犬とは違った特徴があります。

  • 寄生する成虫の数が少ない(多くは1〜数匹)
  • 心臓よりも肺の血管で死滅することが多く、強い炎症反応を起こす
  • オスだけ・メスだけなど性が偏っていることが多く、子虫(ミクロフィラリア)が出にくい
  • 心臓以外の部位(脳・眼など)に迷い込む「異所性寄生」が比較的多い

少数寄生でも、ネコちゃんの体が小さいため致命的なダメージになり得ます。

HARD(猫フィラリア関連呼吸器疾患)

猫の体内でフィラリアの幼虫が肺の血管に到達したとき、たとえ成虫になれずに死滅したとしても、強い免疫・炎症反応が起こり、喘息のような症状を引き起こすことがあります。これを「HARD(Heartworm-Associated Respiratory Disease)」と呼びます。

  • 慢性的な咳
  • 呼吸が速い・苦しそう
  • 嘔吐
  • 食欲低下、体重減少
  • 突然死

「猫の喘息」と思われていた症状が、実はHARDだったというケースもあります。

なぜ診断が難しいのか

猫のフィラリアは、犬と同じ検査では見つかりにくいことが知られています。

  • 寄生数が少ないため抗原検査の感度が下がる
  • ミクロフィラリアが血液中に出にくい
  • 症状が喘息・気管支炎・心疾患などと区別がつきにくい

複数の検査(抗原・抗体・画像検査)を組み合わせても、確定診断が難しいことが多いのが現状です。

成虫を駆除する薬が使えない

犬では成虫を駆除する薬がありますが、猫には使えません。少数の成虫が一気に死ぬだけでも、強い炎症やショック反応で命を落とす危険があるためです。

猫の治療は、炎症や咳をおさえるお薬で症状をやわらげ、急変を防ぐことが中心になります。虫体の位置がはっきりとわかる場合には外科的に取り出す方法もありますが、適応は限られます。「見つけにくく、駆除する薬も使えないからこそ予防が大切」というのが、猫のフィラリア症の最も大切なポイントです。

完全室内飼いでも?

「うちの子は外に出ないから大丈夫」と思っていませんか?蚊は網戸の隙間や玄関の開閉時に簡単に屋内に侵入します。実際、室内飼いの猫から感染が確認された報告もあります。

蚊が1匹でも家に入る環境であれば、感染のリスクはゼロではありません。

予防薬の種類

猫のフィラリア予防薬にも、ワンちゃん同様にいくつかのタイプがあります。

  • 経口薬(錠剤・チュアブル):月1回投与
  • スポット剤(皮膚に滴下するタイプ):月1回。ノミ・お腹の虫の予防を兼ねたものが多く、お薬が苦手なネコちゃんに向いています

ライフスタイルや投薬のしやすさに合わせて、当院でご相談しながらお選びいただけます。

まとめ

  • 猫もフィラリアに感染する
  • 犬と違って成虫を駆除する薬が使えず、予防がもっとも大切
  • 診断が難しく、HARDという呼吸器症状を引き起こす
  • 完全室内飼いでも蚊は侵入する
  • 月1回の予防薬でしっかり予防できる病気

「気づきにくく、駆除する薬も使えない」病気だからこそ、ぜひ予防をご検討ください。ご不明な点があれば、お気軽に当院スタッフまでご相談ください。

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