2026.08.12

胃拡張・胃捻転症候群(GDV)を予防する|腹腔鏡下胃固定術

大型犬の飼い主さんにぜひ知っておいていただきたいのが、「胃拡張・胃捻転症候群(GDV)」という病気です。発症すると数時間で命に関わることもある一方で、あらかじめ手術で予防できる病気でもあります。今回はこの病気と、予防のための「腹腔鏡下胃固定術」についてご紹介します。

胃拡張・胃捻転症候群(GDV)とは?

胃がガスで急激にふくらみ、そのままねじれてしまう病気です。ねじれることでガスの逃げ道がなくなり、胃や周囲の臓器への血流が遮られてショック状態に陥ります。

次のような様子が見られたら、すぐに動物病院へご連絡ください

  • おなかがパンパンに張っている
  • 吐きたいそぶりをするのに何も出ない
  • よだれを垂らして落ち着かない
  • 呼吸が早い、ぐったりしている
正常な胃、胃拡張・胃捻転でねじれた胃、胃固定術でお腹の壁に固定した胃の3コマ比較図

起こりやすいワンちゃん

グレート・デーン、ジャーマン・シェパード、スタンダード・プードル、ボルゾイ、ワイマラナーなど、胸が深く縦長い体型の大型犬種で起こりやすいことが知られています。グレート・デーンでは、生涯で約4割が発症するとする報告もあります。

また、血縁に発症した子がいる場合もリスクが高いとされています。

「胃固定術」で予防できます

この病気は、胃をあらかじめおなかの壁に縫い付けて固定しておく「胃固定術」で予防できます。胃が回転できなくなるため、捻転(ねじれ)を防ぐことができます。

カメラを使う腹腔鏡下なら、小さな傷でこの手術を行うことができ、術後の痛みや回復の面でも負担を減らせます。

避妊・去勢手術と同時にできます

胃固定術は、避妊・去勢手術と同時に行うことも可能です。麻酔の回数を増やさずに済むため、該当する犬種のワンちゃんには、若いうちの予防的な胃固定術をおすすめしています。

既に避妊・去勢を済ませている子でも、胃固定術だけを単独で行うことができます。

当院の腹腔鏡手術について

当院では、JSVES(日本獣医内視鏡外科学会)の内視鏡外科認定医を含む内視鏡外科チームにて手術を実施しています。腹腔鏡下の避妊手術・潜在精巣摘出術・肝生検・胆嚢摘出術・胃固定術などに対応していますので、適応かどうかも含めてお気軽にご相談ください。

腹腔鏡手術のくわしい方法や傷の大きさについては、負担の少ない腹腔鏡下胆嚢摘出術|胆嚢粘液嚢腫は破れる前の手術が大切でもご紹介しています。

開腹手術と腹腔鏡手術の傷あとの違い。開腹手術は大きな切開、腹腔鏡手術は数ミリの穴が数か所ですむ。

まとめ

  • 胃拡張・胃捻転症候群は、数時間で命に関わる緊急疾患
  • 胸の深い大型犬種で特に起こりやすい
  • 胃固定術で予防でき、腹腔鏡なら小さな傷で行える
  • 避妊・去勢手術と同時に行うことも可能

大型犬のワンちゃんと暮らしている方は、お気軽に当院スタッフまでご相談ください。

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